| <排卵誘発周期採卵> 注射を主体とした排卵誘発 一般的には、均一な卵子を育てるためと排卵をコントロールするために点鼻薬などで脳下垂体の機能を抑えることがある。ただし、反応性が悪い時(卵胞発育が悪いとき)には点鼻薬を使用しない。 | <軽度排卵誘発周期採卵> 飲み薬の排卵誘発剤だけの場合や飲み薬の排卵誘発剤と注射(FSHやHMG)との併用を行ったりする。体外受精が始まった頃から行われている古典的な誘発。 (一部のクリニックではこれを勝手に自然周期採卵と呼んでいることがある。) | <完全自然周期採卵> 排卵誘発剤を一切使用しないで行う体外受精周期。(排卵誘発剤にほとんど反応しない症例に使用することが多い。)漢方薬やサプリメントや針灸などと併用することもある。(技術が高く、卵発育に対する見識が深いクリニックでしか行えない。) |
成熟卵子を大体4-12個程度採卵することを目的とする。 | 3-5個の卵子を採卵することを目的とする。 | 自然に発育する1個の卵子を採卵することを目的とする。 |
メ リ ッ ト | 良好な卵子が発育しやすい患者様には均一な卵子が採卵でき、場合によっては凍結保存することも可能。1回で妊娠した場合、2−3年後に、凍結保存しておいた残りの卵子で妊娠することも可能。2−3年経って2人目が欲しいと考えた時に、最初の時より年をとっていて以前と同じような良好な卵子が採卵できるかは不明なので、前回の若い頃の凍結しておいた卵子が残っていればメリットはある。また、確実に採卵できる確率は圧倒的に高い。 | 若くて、卵子発育が良好な患者様には非常に向いている。少ない薬の用量で、ある程度の卵子発育が期待できる。子宮内膜も注射誘発周期のように厚くなりにくい。採卵周期の着床条件は比較的良好。純粋な卵管(機能)障害で、卵発育が良好な患者様には最適。 | 排卵誘発剤を使用しても、2個以下の卵子しか育たないケースでは、誘発剤により“まだら”な刺激を受けた卵子よりも自然に発育してくる1個の卵子の方が、質がまだ良いことも多い。 |
デ ィ メ リ ッ ト | 副作用として卵巣過剰刺激症候群をおこすことがある。 卵発育と伴にエストロゲン値が上昇しやすい。 黄体期のホルモン変動が不安定な場合がある。(着床障害をおこすことがある。)厳重な黄体補充が必要。 症例によってImplantation window(着床有効時期)が前に移動しやすいこともある。 | 一見よさそうにみえるが、高齢者や卵子が発育しにくい患者様には不向き。卵子が発育せず、採卵できなかったり、採卵しても卵子が取れなかったり、卵子が1個しかない場合には受精しなかったり、受精しても発育しなかったりする場合も多い。採卵前に自然排卵してキャンセルになる場合もある。従って、見かけ上の胚移植あたりの妊娠率は高くなっても、キャンセルや胚移植が出来ない症例が多いこともあることに注意。この方法で妊娠率が高いとうたっているクリニックもあるが、影に隠れた症例が多数あることに気をつけて。 | あくまでも、患者様自体の体内で分泌されるホルモンにより卵発育と卵の質が規定されるので、患者様の体調や気温変化やストレスの有無により、卵の質がかなり影響される。 1個の卵子のため、超えなければならないハードルが多く、採卵あたりの妊娠率は低くなる。 |